名刺交換より記憶に残る人 — 数ではなく「余韻」が営業をつくる
ビジネスの場では、名刺交換の数が成果のように語られることがあります。「今日は何枚配れたか」「どれだけ人と会えたか」。確かに、それも一つの指標ではあります。
しかし最近、特に懇親会のような場に参加して感じるのは、名刺交換の数と、その後につながるご縁は必ずしも比例しないということです。
今回の地元銀行主催の懇親会でも、私は積極的に名刺を配り歩くことはしませんでした。その代わり、同じテーブルになった方との会話を大切にし、その場の空気を壊さないよう意識しました。
結果として名刺交換の枚数は多くありません。ですが、不思議と「あの人と話した時間」は濃く残っています。
中学時代の同級生だった不動産会社の社長との再会もそうです。名刺を出す前に、まず昔話と今の仕事の話。お互い肩書きを意識せず話せたからこそ、「またゆっくり話そう」という流れが自然に生まれました。
名刺は情報ですが、記憶に残るのは感情です。
・話しやすかった
・安心して話せた
・立場に関係なく接してくれた
こうした印象は、名刺の文字以上に強く残ります。
営業の現場でも同じです。初対面でいきなり売り込まれるより、「この人なら相談してもいいかもしれない」と思ってもらえるかどうか。それは商品説明の上手さよりも、人としての距離感で決まることが多いと感じます。
名刺交換を否定するつもりはありません。ただ、名刺を渡すことが目的になると、人は記号になってしまう。誰とでも同じ会話、同じ態度では、後から思い出してもらうのは難しいでしょう。
懇親会や交流の場では、「今日は何人と交換したか」ではなく、「誰と、どんな空気を共有できたか」を基準にしてみる。そう考えるようになってから、無理な営業をしなくなりました。
数を追わないことで、かえって一つ一つの出会いが深くなる。名刺交換よりも記憶に残る人でいること。それが、遠回りに見えて一番確実な営業なのかもしれませんね。