年を重ねて「やらなくなったこと」が仕事を楽にした話
若い頃は、「やることを増やす」ことが成長だと思っていました。
営業先を増やし、顔を出す回数を増やし、出来るだけ多くの人と会う。
動けば動くほど成果に近づく――そんな感覚です。
ところが、年を重ねるにつれて、少しずつ“やらなくなったこと”があります。
そして不思議なことに、それが仕事を楽にしてくれました。
まずやらなくなったのは、「すべてに応えようとすること」です。
以前は、相談を受ければ即答し、無理そうな案件でも何とか形にしようとしていました。
今は一度立ち止まり、「これは本当に自分がやるべき仕事か?」と考えます。
結果的に、引き受ける仕事の精度が上がり、信頼も深まりました。
次にやらなくなったのは、「自分を大きく見せること」。
知識や実績を盛る必要はない、と気づいたのです。
分からないことは分からないと言い、必要なら人を紹介する。
そのほうが、相手との関係は長続きします。
そして一番大きいのは、「常に前に出続けること」をやめたことかもしれません。
場を仕切る、話し続ける、存在感を示す。
若い頃はそれが仕事だと思っていました。
今は、相手の話を聞き、間をつくり、余白を残す。
その余白にこそ、本音や次の仕事の種が落ちていると感じます。
不思議なもので、やらないことを決めると、心にも時間にも余裕が生まれます。
その余裕が、判断を冷静にし、結果として仕事を前に進めてくれる。
年を重ねることは、衰えることではありません。
削ぎ落とした先に残ったものこそが、自分の仕事の芯なのだと思います。
若い頃のように全力疾走はできなくても、
今は無駄な力を使わず、確実に前へ進めている。
それは、とても心地の良い働き方です。