踏み込んで失敗した話 ― 境界線を越えた先で学んだこと

営業をしていると、「ここから一歩踏み込めば何かが動くかもしれない」と感じる瞬間があります。相手との距離が縮まった気がする時、話が弾んだ時、こちらの提案に少しでも関心を示してくれた時。そんな場面で、私は何度も“もう一歩”を選んできました。

ただ、その一歩が必ずしも正解とは限りません。

以前、ある企業様とやり取りをしていた時のことです。何度かのやり取りを経て、「この内容なら役に立つはずだ」と思い、少し踏み込んだ提案をメールで送りました。結果は、完全な裏目でした。返ってきたのは、はっきりとした拒絶の言葉。それ以上のやり取りは不要だ、という明確な意思表示でした。

正直、ショックでした。

こちらは良かれと思って動いた。しかし、相手にとっては「余計な踏み込み」だったのです。この出来事から学んだのは、「踏み込むこと」と「越えてはいけない一線」は別物だということでした。営業では、熱意や行動力が評価される場面も多い。しかし、相手の温度感や立場、タイミングを読み違えると、その熱意は簡単に“圧”に変わってしまいます。

大切なのは、踏み込む前に一呼吸置くこと。


今の関係性で、その一歩は本当に必要か。相手は求めているのか、それともこちらの都合なのか。その問いを自分に投げかけるだけで、失敗の多くは防げる気がしています。

踏み込んで失敗した経験は、決して無駄ではありません。むしろ、距離感を学ぶための貴重な教材です。若い頃の私は、勢いで踏み込み、後で反省することが多かった。今は、踏み込まない勇気を持てるようになりました。

営業とは、攻めることだけではありません。引くこと、待つこと、余白を残すこと。
そのバランスを知った時、仕事は少し楽になります。

失敗は痛い。


でも、その痛みがあるからこそ、「次はどう動くべきか」が見えてくる。
踏み込んで失敗した話は、今の自分を形作っている大切な一部だと感じています。