声高に語らないということ
仕事をしていると、つい強く言いたくなる場面があります。
自社の強みも、これまでの実績も、伝えなければ伝わらない。営業であればなおさらです。
けれど、経験を重ねるほどに感じるのは、
本当に信頼される場面では、こちらの声はそれほど大きくない、ということです。
以前は、「いかに分かりやすく」「いかに印象に残るか」を意識していました。
もちろん、それも大切です。しかし、相手が忙しいとき、悩んでいるとき、決断を迫られているときに響くのは、勢いのある言葉よりも、静かな理解でした。
「今は大変な時期ですよね」
「急ぎませんので、落ち着いた頃に」
そんな一言が、あとから思い出されることがあります。
声高に語らないというのは、何も言わないことではありません。
必要なことはきちんと伝える。提案もする。
ただし、自分の主張を前に出しすぎない。相手の状況や気持ちが中心にある姿勢を崩さない。
そうすると、不思議なことに、こちらが力を入れなくても話が前に進むことがあります。
若い頃は、成果を急ぎました。
結果を出していることを示したくて、言葉にも力が入りました。
それも決して間違いではなかったと思います。
けれど今は、少し違います。
成果は後からついてくるもの。
まずは信頼を積む。そのために、必要以上に声を張らない。
目立たなくてもいい。
ただ、「あの会社は落ち着いている」「話を聞いてくれる」と思ってもらえれば、それで十分です。
経験を重ねるということは、
声を大きくすることではなく、必要な場面を見極められるようになることなのかもしれません。
声高に語らない。
それは消極的なのではなく、余計な力を抜けるようになった証。
そして、相手を尊重する覚悟でもあるのだと思います。