沈黙を怖がらない人
営業の場面でも、打ち合わせの場面でも、不思議と沈黙が訪れることがあります。
こちらが話し終えたあと。
質問を投げかけたあと。
相手が何かを考えているとき。
そんな数秒間の沈黙です。
若い頃の私は、この沈黙が苦手でした。
場を埋めなければいけない。
何か話さなければいけない。
そう思って、つい言葉を重ねていた気がします。
しかし、経験を重ねるうちに考え方が変わりました。
沈黙には意味がある。
そう思うようになったのです。
相手は話を理解しようとしているのかもしれない。
提案内容を検討しているのかもしれない。
あるいは、自分の考えを整理している最中かもしれない。
その時間を奪ってしまえば、本音は出てきません。
むしろ、沈黙を待てる人のほうが、相手の本当の言葉を聞けることがあります。
営業の現場でも同じです。
こちらが一方的に話し続けるよりも、
「どうお考えですか」
と問いかけて、相手の反応を待つ。
すぐに答えが返ってこなくても焦らない。
その数秒の沈黙のあとに、本音が出てくることがあります。
実際、重要な話ほど簡単には言葉になりません。
予算のこと。
将来への不安。
会社の課題。
こうした話は、少し考える時間が必要です。
だからこそ、沈黙を受け入れる余裕が大切になります。
これは仕事だけではありません。
人との関係も同じだと思います。
相手の話を最後まで聞く。
すぐに答えを出そうとしない。
自分の意見を急いで挟まない。
その姿勢が、安心感を生みます。
前回のブログで「話を聞く人が、最後に信頼される」と書きました。
実は、その一歩先にあるのが「沈黙を怖がらないこと」なのかもしれません。
話を聞くことはできても、沈黙を待つことは意外と難しい。
そこには相手を信じる気持ちと、自分自身の余裕が必要だからです。
年齢を重ねるほど感じます。
仕事ができる人とは、たくさん話す人ではない。
答えを急ぐ人でもない。
必要なときに話し、必要なときには待てる人なのだと。
沈黙は、決して空白ではありません。
相手が考え、整理し、本音にたどり着くための大切な時間です。
だからこそ、その時間を大事にしたい。
これからも私は、沈黙を埋めることよりも、沈黙を受け止めることを意識していきたいと思います。
その先にこそ、本当の信頼関係が生まれるような気がするのです。