本当に強い人は、勝とうとしない
仕事をしていると、「競争」という言葉をよく耳にします。
競合に勝つ。
他社より良い提案をする。
価格で負けない。
もちろん、経営を続ける以上、競争から目を背けることはできません。
私も日々、そうした現実の中で仕事をしています。
しかし、長年この仕事を続けてきて感じることがあります。
本当に信頼されている人ほど、「勝つこと」だけを考えていないのです。
若い頃は、競合より優れた提案をしようと力が入りました。
もっと良い条件を出そう。
もっと目立つ企画を考えよう。
そうやって、一生懸命に前へ出ようとしていました。
けれど、経験を重ねるにつれて気づいたことがあります。
お客様は、「一番強い会社」を探しているわけではない。
「安心して任せられる会社」を探しているのだということです。
だから、勝とうとするよりも大切なことがあります。
それは、相手に役立とうとすることです。
目の前のお客様は、何に困っているのか。
どんな未来を思い描いているのか。
そのために、自分たちは何ができるのか。
そこに意識を向けるようになると、不思議と競争相手のことが気にならなくなります。
見るべき相手が変わるからです。
競合ではなく、お客様を見る。
数字ではなく、信頼を見る。
その積み重ねが、結果として仕事につながっていく。
そんな場面を、私は何度も経験してきました。
もちろん、競争に勝つことを否定するつもりはありません。
良い仕事をすれば、結果として選ばれることもあります。
けれど、「勝つこと」だけを目的にすると、視野は狭くなります。
価格だけで比べる。
他社を意識しすぎる。
目先の契約だけを追いかける。
それでは、長く続く信頼は育ちません。
一方で、「相手の役に立とう」と考えて仕事をしている人は違います。
必要がなければ、無理に勧めない。
自分より適した会社があれば、正直に伝える。
目先の利益よりも、長い付き合いを大切にする。
一見すると遠回りのようですが、その姿勢は必ず誰かが見ています。
そして、「あの人なら安心だ」という信頼になって返ってきます。
以前、このブログで「信頼される人は、誰のために仕事をしているのか」と書きました。
今回のテーマも、その続きです。
誰かに勝とうとするのではなく、誰かの役に立とうとする。
その姿勢こそが、本当の強さなのかもしれません。
仕事には、勝ち負けだけでは測れない価値があります。
一つの紹介。
一つの感謝の言葉。
「またお願いします」という一言。
それらは、相手に勝ったから得られるものではありません。
相手から信頼されたからこそいただけるものです。
年齢を重ねるほど思います。
本当に強い人とは、大きな声で自分を語る人ではありません。
誰かを打ち負かす人でもありません。
目の前の人に誠実に向き合い、その人の成功を願える人です。
その姿勢を、何年も、何十年も続けられる人です。
だから私は、これからも「勝つこと」を追い求めるのではなく、「役に立つこと」を積み重ねていきたいと思います。
その積み重ねが、静かに信頼を育て、長く選ばれる会社へとつながっていくと信じているからです。